インチワームプッシュアップは、運動前のウォーミングアップやダイエットのための脂肪燃焼運動として効果的。
インチワームプッシュアップは、筋肉を部位ごとにひとつひとつを鍛えるのではなく、一連の流れの中で体の大きな筋肉を鍛えていきます。
体を伸ばしたり縮めたりするユニークな動きにリズム感があり、楽しく短時間で効率よく全身を引き締めることができます。
目次
インチワームプッシュアップとは
インチワームとは、英語でシャクトリ虫のことです。
インチワームプッシュアップは、全身を使う運動なので、短時間で運動前のウォーミングアップ効果が得られます。
また、ダイエット目的でインチワームプッシュアップだけをおこなっても、手首、足首、脚、腕、背中などが連動して鍛えられるので、全身の筋力アップにつながります。
筋肉が鍛えられると基礎代謝が高まり、運動をしていないときでも消費エネルギーが増えるので、適切な体重をキープすることができます。
近年多くのスポーツ選手たちも、競技力の向上のためにインチワームプッシュアップを取り入れていますが、この運動は赤ちゃんのお尻を高く上げてハイハイする高這いに似ています。
赤ちゃんがハイハイしはじめは、体をにじって前に進みますが、そのうちお尻を高く上げて、両手と両足をついてスピードを上げてハイハイします。
この動作によって赤ちゃんの心肺機能や消化機能もアップします。
現在のスポーツ競技の補強トレーニングに、インチワームプッシュアップが積極的に取り入れられているのは、人類の進化にそった最も効果的なウォーミングアップ方だからとも言われています。
インチワームプッシュアップで鍛えられる部位と効果
インチワームプッシュアップは全身運動なので、体の前側の上半身では大胸筋、三角筋、上腕二頭筋、腹直筋などが鍛えられ、下半身では大腿四頭筋などが鍛えられます。
また、体の後ろ側の上半身では三角筋、上腕三頭筋、広背筋などが鍛えられ、下半身では、中殿筋、大臀筋、大腿二頭筋などが鍛えられます。
インチワームプッシュアップで鍛えられる部位は数多くありますが、主な部位とその効果については以下の通りです。
腹直筋
腹直筋は体の前側の上半身の筋肉です。
板チョコのように割れた腹筋は、多くの男性のあこがれですが、腹直筋の働きが不十分だと胸郭を引き上げる力や骨盤を引き上げる力などが衰え、猫背やポッコリお腹の原因となってしまいます。
また、どんなスポーツをする場合も屈曲動作はつきものですが、キレのあるパフォーマンスは腹直筋を鍛えないと望めません。
インチワームプッシュアップのプランクの後に、腕立て伏せを入れることで、腹直筋がより鍛えられます。
大腿四頭筋
大腿四頭筋は、体の前側の下半身の筋肉です。
大腿四頭筋は、大腿直筋(だいたいちょくきん)、外側広筋(がいそくこうきん)内側広筋(ないそくこうきん)、中間広筋(ちゅうかんこうきん)」という4つの筋肉で構成されています。
インチワームプッシュアップエクササイズは、下半身の大きな筋肉をしっかり鍛えることができます。
運動前のウォーミングアップに取り入れることで、スポーツ時のひざや腰の故障が防げます。
広背筋
広背筋は体の後側の上半身の背中の筋肉です。
背中の筋肉は脇から腰にかけての広背筋(こうはいきん)のほか、、背骨の両脇の脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)、首から背中にかけての僧帽筋(そうぼうきん)があります。
広背筋は腕の開閉や、引っ張る動作をスムーズにおこなう筋肉です。
脊柱起立筋は体を安定させるため、僧帽筋は肩甲骨をなめらかに動かすための筋肉です。
それぞれが連動しており、上半身のパフォーマンスを上げます。
広背筋は、インチワームプッシュアップの中の手をゆっくり前方へ歩かせるときなどで鍛えられます。
大臀筋
大臀筋は、体の後側の下半身の筋肉です。
臀部にある大きな筋肉でお尻の筋肉です。
お尻は、大臀筋、中臀筋、小臀筋の3つの筋肉からできていますが、この筋肉が衰えるとつまずきやすくなり、スポーツ中のケガを招くこともあります。
インチワームプッシュアップの中のプランクは、大臀筋を鍛える効果があります。
上記で紹介した筋肉は、体の中でも大きな筋肉ばかりですが、このような大きな筋肉を鍛えることで体の筋肉量が増え、基礎代謝がアップしやすくなります。
インチワームプッシュアップは大きな筋肉にアプローチするため、効率の良いトレーニング法といえます。
基本のインチワームプッシュアップのやり方
- 脚を伸ばして真っすぐ立ち、ひざは伸ばしたまま前屈し、両手を床につけます。
- 足は動かさない状態で、手で一歩一歩体が伸びきるまで前に進みます。このとき体は下がり、プランクポーズ(板状)になります。
- 腕で体をささえた状態(前支え)で、腕立て伏せを1回おこないます。
- 腕立て伏せをおこなったあと、今度は手を後ろにずらしながら足元に進めていき、立った状態まで戻ります。
- ①~④までを1回とし、10~15回で1セットとします。目標は、3セットです。
初級者におすすめのやり方
- 基本の前屈が無理な場合は、膝を軽く曲げて両手を床につけます。
- 足は動かさない状態で、手で一歩一歩体が伸びきるまで前に進んだ後、プランクの状態のまま3~5呼吸をくり返します。
その後、手を後ろにずらしながら足元に戻ります。
初心者や女性の中には、腕立て伏せが苦手の人が多いようですが、慣れるまでは腕立て伏せは省いて、無理をせずにおこないましょう。
また、連続10回もおこなうのはかなり体力がいるので、連続5回を1セットとして、1日2セットくらいからおこなってみましょう。
上級者におすすめのやり方
- 脚を伸ばして真っすぐ立ち、ひざは伸ばしたまま前屈し、両手を床につけます。
- 足は動かさない状態で、手で一歩一歩体が伸びきるまで前に進みます。
この時、体は下がりプランクポーズ(板状)になります。
ここまでは基本と同じですが、腕立て伏せを2~3回おこないます。
腕立て伏せを数回入れることで、男性なら腹筋が割れやすく、女性ならバストアップや、二の腕の引き締め効果が得られます。
腕立て伏せをおこなったあと、今度は手を後ろにずらしながら足元に進めていき、立った状態まで戻ります。
15回で1セットとし、目標は3セットです。
上級者の場合は、ある程度早いペースで行うことで心肺機能がアップし、脂肪燃焼効果も高まります。
インチワームプッシュアップをおこなう上での注意点
インチワームプッシュアップ効果を得るためには、次のようなことに注意しましょう。
・ひざが曲がらないように注意します。
・プッシュアップ(腕立て伏せ)をおこなう際は、腹筋を引き締めて、腰から肩のラインをまっすぐに保っように意識しておこないます。
・一連のインチワームプッシュアップ効果を得るには、上半身が揺れないようにします。
・連動性を大切に、流れるようにエクササイズを行います。
まとめ
インチワームプッシュアップは、負荷のあるトレーニングが苦手な人もテンポよくおこなえるエクササイズです。
スポーツのパフォーマンスを上げたい人だけでなく、ダイエット目的の人も無理なく全身を引き締めることができます。
エクササイズの途中に入れる腕立て伏せを省くと、初心者や高齢者も健康のためにおこなうことができます。