ハムストリングスのストレッチで疲れ知らずの足になれる方法

ハムストリングスは太ももの裏側にあたる普段あまり使わない筋肉です。

運動習慣のない人はハムストリングスが硬くなりやすく、腰痛を引き起こしたり姿勢に悪影響を及ぼす場合もあります。

この記事では、ハムストリングスの柔軟性を向上させるストレッチ方法を理解し、疲れにくい脚を手に入れましょう。

ハムストリングスとは?

ハムストリングスとは、大腿二頭筋(長頭)・大腿二頭筋(短頭)・半膜様筋・半膜様筋の4つの筋肉からなる太もも裏の筋肉の総称です。

ハムストリングスは「太もものひも」という意味。

  • ハム…太ももの意味。肉の加工品であるハムも、もともとは豚の太ももを意味していました。
  • ストリングス…ひもの意味、複数形。4つの筋肉から成るので複数形で表されています。

筋トレをよくやっている人やスポーツトレーナーの間では「ハム」「ハムスト」と短縮形で呼ばれることが多いです。

ハムストリングスの働き

ハムストリングスはひも状の筋肉で、おしりから膝下にかけて伸びた筋肉で、骨盤・太もも・下腿をつないでいます。

そして、股関節と膝関節の動きに大きく関わる重要な筋肉。股関節を後ろに引いたり、膝関節を曲げたりするはたらきがあります。

  • 歩いているとき:後ろ足で地面を蹴り出し、体が前へ進む力を発揮します。
  • 階段をおりるとき:前足の膝をしなやかに曲げ、着地の衝撃をやわらげます。
  • ジャンプをするとき:足を十分に曲げて高く飛ぶ準備をします。

ハムストリングスが硬くなる習慣

運動習慣のない人にとってハムストリングスは硬くなりやすい部位です。

ハムストリングスはどのような生活習慣でこわばってしまうのでしょうか。

詳しくみていきましょう。

座っている時間が長い

イスにすわっている姿勢は、膝を曲げてハムストリングスがゆるんだ(短くなった)状態です。

長時間のデスクワークはハムストリングスが短いままで伸ばされることが少なく、筋肉が伸びにくくなり硬くなってしまいます。

姿勢が悪い

猫背や背中が丸まった姿勢では、骨盤が後傾(後ろに傾いて)していることが多いです。

骨盤が後傾していると、ハムストリングスの起始部である座骨が下がり、短くなった(ゆるんだ)状態になります。

姿勢は無意識で長年しみついた習慣であるため、意識しないと改善するのは難しく、姿勢が悪い状態を放っておくと、ハムストリングスが短く硬くなってしまいます。

筋力が弱い

筋肉は、力を入れたり抜いたりすることで柔軟性が保たれる性質があります。

ハムストリングスの筋力が弱いと、日常生活でハムストリングスをあまり使わないような体の使い方をしてしまいます。

ますます筋力は弱くなり、硬くなる要因となります。

 

ハムストリングスが硬いと起こる不調

ハムストリングスが硬いと私たちのカラダにどのような不調が現れるのでしょうか。

詳しくみていきましょう。

腰が痛くなる

腰痛持ちの人は、ハムストリングスが硬いことが非常に多いです。

これはハムストリングスが硬いことによって引き起こされる血行不良や、過度な骨盤後傾という不良姿勢が要因と考えられます。

姿勢が悪くなる

ハムストリングスが硬いと、座骨が下にひっぱられて骨盤が後傾します。

さらに骨盤に連動して背中がまるまった姿勢になり、全体的に猫背という美しくない姿勢になってしまいます。

足が疲れやすい

血行不良は、痛みの原因物質や疲労の原因物質の流れを妨げることにつながります。

ハムストリングスが硬いと血行が悪くなり、足が疲れやすくなったり疲れがとれにくくなったりするでしょう。

ケガをしやすい

ハムストリングスが硬いことでよく起こるケガのひとつは「肉ばなれ」です。

肉ばなれは、ジャンプやダッシュなど筋肉の急な収縮や弛緩のときによく起こります。

硬いハムストリングスは、力を入れたりゆるめたりという動作をスムーズに行いにくくなっていますので、肉ばなれになりやすいでしょう。

ハムストリングスをやわらかくするメリット

ハムストリングスが硬いと私たちのカラダに様々な弊害が起きることをご理解いただけましたでしょうか。

それでは、ハムストリングスを柔らかくすることによるメリットについても解説していきます。

腰の痛みがやわらぐ

腰痛もちの人が、ハムストリングスのストレッチをすると腰痛がやわらぐ場合があります。

これは、筋肉の柔軟性が改善し、血行が良くなったこと、骨盤の位置が正常に近づいたこと、他の筋肉も正しく使える状態になったことで、痛みが和らいだと考えられます。

若々しく見える

ハムストリングスを伸ばすことで、姿勢が良くなります。

猫背が解消され、背筋がすっと伸びている姿勢はいつまでも若々しく見えるでしょう。

太りにくい体質に

ハムストリングスは、太もも裏という足の広い範囲を占める大きな筋肉群なので、柔軟性をあげ筋肉の動きをよくすればするほど、筋肉の代謝があがります。

大きな筋肉をしっかり使うことで、エネルギー消費量が増え、太りにくい体へと近づくでしょう。

スポーツ能力が向上する

ハムストリングスは、骨盤から膝下までの広い範囲にあり、他の筋肉とも深い関りがあります。

ハムストリングスの柔軟性が改善され機能が向上すれば、隣接する筋肉とのより協調した運動が可能になり、協調した動きが求められるスポーツがうまくなります。

ハムストリングスの柔軟性チェック!

手の指先が足のどこまで届くかを確認し、現在の柔軟性とストレッチ後の柔軟性を比較しましょう。

【立って前屈】ある程度の柔軟性がある人向け

  1. 足を肩幅にひらいて立つ。
  2. つま先は真正面に向ける。
  3. 頭・首・胸・腰の順番に前屈していく。
  4. 膝は曲げないようにする。
補足

ストレッチ前に立って前屈して、指先がどこまで届いたのか記憶しておきましょう。

後述するストレッチ方法を試した後に再度、指先の位置を測り比較しましょう!

【座って前屈】腰痛もちの人・体がとても硬い人向け

腰痛のある人、カラダがとても硬い人は座って前屈してみましょう。

  1. 足を骨盤幅にひらく。
  2. 腰(骨盤)が丸まらないように、上半身を前へたおす。
  3. 膝は曲げないようにする。

座った状態で前屈して指先の位置を確認し、後述するストレッチ後の指の位置と比較してみましょう。

【レベル別】ハムストリングスのストレッチ方法3種

ハムストリングスの硬さに応じたストレッチをご紹介します。

それぞれ、「太もも裏が伸ばされているな」という状態を30秒以上キープしましょう。

決して無理はせず、痛みのない範囲で行ってくださいね!

ハムストリングスストレッチ①非常に硬い人向け

  1. マット上に足をのばして座る。
  2. 両足を左右にひろげる。無理のない範囲でOK!
  3. 骨盤をたてて、おしりを左右にふる。ハムストリングスに振動を加える。
  4. 両手を前につき、腰(骨盤)が丸まらないように上半身を前にたおす。

ハムストリングスストレッチ②そこそこ硬い人向け

  1. マット上に足をのばして座る。
  2. 左足を、あぐらをかくように曲げる。
  3. 右足は前方に伸ばす。多少膝が曲がってもOK!
  4. 腰(骨盤)が丸まらないように上半身を前にたおす
  5. 反対側も同様に行う。

ハムストリングスストレッチ③ちょっと硬い人向け

  1. 足を腰幅にひろげて立つ。
  2. 頭から順に曲げ、前屈する。
  3. 膝を曲げ、両手で足首をつかむ。
  4. 膝を曲げた状態からゆっくりと伸ばす。おしりを天井につき上げるように。
  5. 2-3回、膝の曲げ伸ばしをゆっくりと繰り返す。

あわせてやると良い+αストレッチ

最後に、ハムストリングスのストレッチとあわせてやると、より効果的なストレッチをご紹介します。

ハムストリングスと深い関りのある大殿筋と中殿筋のストレッチです。

  1. 安定したイスに浅く座る。
  2. 右足首を左太ももにのせる。
  3. 上半身を腰(骨盤)が丸まらないように前にたおす。
  4. 反対側も同様に行う。

まとめ

ハムストリングスの重要性についてくわしくご紹介しました。

日頃から姿勢やストレッチを意識して、しなやかなハムストリングスを手に入れて、疲れにくい脚を手に入れましょう。