デクラインベンチプレスは大胸筋下部を鍛え胸板作りには欠かせない筋トレです。
二次的に上腕三頭筋にも効かせることができるので、たくましい腕や引き締まった腕にする効果も期待できます。
また、デクラインベンチプレスは通常のベンチプレスのフォームの改善にも役立つので練習や修正に使うことも可能です。
目次
デクラインベンチプレスとは
デクラインとは斜め下という意味があります。
傾斜により頭が上になる体勢がインクラインに対し、傾斜をつけて頭が下になる体勢になるのがデクラインベンチプレスです。
主に大胸筋下部・上腕三頭筋の筋トレをすることができます。
- 大胸筋下部の発達で厚い胸板を作る
- 大胸筋下部のラインを出せる
- 通常のベンチプレスよりも大きな負荷をかけられる
- 腰や肩の関節にかかる負担が軽減できる
男性なら鍛えられたかっこいい上半身に、女性なら引き締まったラインの上半身になることができる筋トレです。
デクラインベンチプレスではバーベルを斜め下へあげさげする動作になるので、フラットな状態で行うよりも高重量を扱えるようになっています。
筋肥大を目的としている人には特におすすめできます。
他にも斜め下方向への動作によって腰・肩への負担を軽減することができる筋トレなので、ケガや故障が心配な人でも安心です。
鍛えられる筋肉
デクラインベンチプレスでは2つの筋肉を鍛えることができます。
メイン:大胸筋下部
サブ:上腕三頭筋
三角筋にも効きそうだと感じますが、同時に鍛えたいなら意識して筋トレをしなければ自然に効かせることができません。
基本的に鍛えられる筋肉は大胸筋下部と上腕三頭筋だと覚えておいてください。
大胸筋下部
大胸筋下部は大胸筋の中でも最も体積が大きな筋肉です。
腹筋の上部にある筋肉で、日常生活の中では内転(腕をななめ下へおろす)動作に使われています。
筋繊維がたくさん集まっている部分なので、うまく鍛えることができれば代謝アップにもなり筋肉の質もアップさせることが可能です。
かける負荷によってはボディメイク・ダイエット効果を出すこともできます。
上腕三頭筋
上腕三頭筋は二の腕の裏側にある筋肉で、腕全体の筋肉の2/3の大きさを占めています。
三頭筋とは長頭・内側頭・外側頭のことで、そのうちの内側頭と外側頭はひとまとめにして短頭と呼びます。
長頭:肘の関節の伸展、肩の関節の内転
短頭:肘の関節の伸展
腕を閉じたり肘を伸ばす動作に使われる筋肉で、日常生活では特に物を押す時に使われています。
男性への効果と女性への効果
デクラインベンチプレスの効果は、男性と女性では求められているものがまったくちがっています。
- 筋肥大による厚みのある胸板へ
- がっしりとした二の腕へ
- 大胸筋を鍛えてバストのボリュームアップへ
- 上腕三頭筋を鍛えて引き締まった二の腕へ
男性の多くはボリュームのある胸板や二の腕に鍛えて男らしさを追求する人が多いですが、一部では引き締めてボディメイクをしている人もいます。
女性の多くは大胸筋を鍛えることによるバストの底上げや、たるんだ二の腕をスッキリさせる二の腕シェイプ効果が目的とされています。
女性で男性のようにムキムキの筋肉をつけたいという人もいますが、体内のテストステロンの量の差もありかなり難易度は高くなっています。
男性:350~1000ng/dL
女性:17.5~50ng/dL
はっきり言って女性のテストステロンの量は男性よりも極端に少ないので、同じように筋肥大を目指しても効果は出にくくなっているのです。
また1日の食事量の違いも筋トレの効果に関係しています。
男性の食事量の目安
6歳~9歳 70歳以上の活動量の低い人 |
1400~2000kcal |
10歳~11歳 70歳以上の活動量の高い人 12歳~17歳の活動量の低い人 |
2000~±200kcal |
12歳~17歳・18~69歳 (活動量が普通以上) |
2400~3000kcal |
女性の食事量の目安
6歳~11歳・70歳以上 12~69歳の活動量の低い人 |
1400~2000kcal |
12歳~69歳の活動量が普通以上の人 | 2200~±200kcal |
食事量によって脂肪燃焼効果や筋肥大効果は変わってくるので、どうしても食事の量の多い男性の方が有利になっています。
最近では若い世代ではあまり食事を摂らない人も多く、なかなか筋トレの効果が出ずに悩む男女が多いようです。
そんな時はもう一度1日の食事のバランスを見直してみてください。
男性と女性の平均重量
デクラインベンチプレスの平均重量を、成人男性と成人女性でまとめてみました。
男性のデクラインベンチプレスの平均重量
体重 | 経験なし | ~1ヵ月 | ~6ヵ月 | 2年以上 | 5年以上 |
60kg | 39kg | 56kg | 77kg | 106kg | 133kg |
65kg | 44kg | 62kg | 83kg | 114kg | 142kg |
70kg | 49kg | 67kg | 90kg | 122kg | 150kg |
75kg | 53kg | 73kg | 97kg | 129kg | 159kg |
80kg | 58kg | 78kg | 103kg | 136kg | 167kg |
85kg | 63kg | 84kg | 109kg | 143kg | 174kg |
90kg | 67kg | 89kg | 115kg | 150kg | 182kg |
95kg | 71kg | 94kg | 121kg | 156kg | 189kg |
100kg | 76kg | 99kg | 126kg | 163kg | 196kg |
105kg | 79kg | 104kg | 132kg | 169kg | 203kg |
110kg | 84kg | 108kg | 137kg | 175kg | 209kg |
115kg | 88kg | 113kg | 142kg | 181kg | 216kg |
120kg | 92kg | 117kg | 148kg | 186kg | 222kg |
女性のデクラインベンチプレスの平均重量
体重 | 経験なし | ~1ヵ月 | ~6ヵ月 | 2年以上 | 5年以上 |
40kg | 13kg | 23kg | 37kg | 55kg | 75kg |
45kg | 15kg | 26kg | 41kg | 59kg | 81kg |
50kg | 17kg | 29kg | 44kg | 64kg | 86kg |
55kg | 19kg | 31kg | 48kg | 68kg | 91kg |
60kg | 21kg | 34kg | 51kg | 72kg | 95kg |
65kg | 23kg | 36kg | 54kg | 76kg | 100kg |
70kg | 25kg | 39kg | 57kg | 79kg | 104kg |
75kg | 27kg | 41kg | 60kg | 83kg | 108kg |
80kg | 28kg | 43kg | 63kg | 86kg | 112kg |
85kg | 30kg | 45kg | 65kg | 89kg | 116kg |
90kg | 32kg | 47kg | 68kg | 92kg | 119kg |
95kg | 32kg | 49kg | 70kg | 95kg | 122kg |
100kg | 35kg | 51kg | 73kg | 98kg | 125kg |
通常のベンチプレスよりも平均重量は重くなっていますが、基本的に+5~10kgと考えてください。
100kgを超える重量をあげるのは簡単なことではないので、最初から無理はせず平均~平均以下からスタートするのがおすすめです。
不安な人はバーベルではなくダンベルでデクラインベンチプレスを始めても問題ありません。
重量選びの目安一覧表
デクラインベンチプレスの重量に迷ったら以下の重量選びの目安を参考にしてみてください。
男性の重量選びの目安
体重 | 初心者~経験が浅い人 | 慣れている人 |
60kg | 39kg~55kg | 101kg~133kg |
65kg | 44kg~62kg | 109kg~142kg |
70kg | 49kg~67kg | 117kg~150kg |
75kg | 53kg~73kg | 124kg~159kg |
80kg | 58kg~78kg | 131kg~167kg |
85kg | 63kg~84kg | 138kg~174kg |
90kg | 67kg~89kg | 138kg~174kg |
95kg | 71kg~94kg | 151kg~189kg |
100kg | 76kg~99kg | 158kg~196kg |
女性の重量選びの目安
体重 | 初心者~経験が浅い人 | 慣れている人 |
40kg | 13kg~23kg | 55kg~75kg |
45kg | 15kg~26kg | 59kg~81kg |
50kg | 17kg~29kg | 61kg~86kg |
55kg | 19kg~31kg | 68kg~91kg |
60kg | 21kg~34kg | 72kg~99kg |
65kg | 23kg~36kg | 76kg~100kg |
70kg | 25kg~39kg | 79kg~104kg |
75kg | 27kg~41kg | 83kg~108kg |
80kg | 28kg~43kg | 86kg~122kg |
上記の重量はあくまでもデクラインベンチプレスの目安重量です。
通常のベンチプレスとは感覚がちがうので、最初は無理がないように目安よりも軽い重量で行って問題ありません。
デクラインベンチプレスの感覚を覚えてから重量をあげていきましょう。
日本記録
ベンチプレスでは世界記録が発表されているのですが、デクラインベンチプレスの世界記録ははっきりと情報が出ていません。
日本記録が知りたい時は日本パワーリフティング協会の公式HPに男性・女性の年代別に開催された年ごとの記録表があるので確認することが可能です。
フルギアは競技用ギア(スーパースーツ・ニーラップなど)を使用して行えますが、ノーギアになると競技用ギアの使用はできません。
ただし、ベルト・リストラップ・ニースリーブの使用は許可されています。
デクラインベンチプレスの正しいフォームとやり方
デクラインベンチプレスでは傾斜をつけることによって、筋肉に新しい刺激を当たることが可能になり肥大や強度アップができる筋トレです。
負荷によってはボディメイクやダイエット効果も期待できるのですが、間違ったフォームでは
・大胸筋下部への刺激が逃げる
・引き締めるはずが反対に太くなる
などの悪い効果につながってしまうので正しいフォームのマスターが必要です。
デクラインベンチプレスの正しいフォームと動作のやり方を知っている人ももう一度復習してみてください。
始める前の準備
インクラインベンチプレスと同じように、デクラインベンチプレスでも角度がとても重要になります。
- ベンチの角度を15~30度に調節する
- 肩・股関節・膝を直線ラインで結ぶ角度を意識
デクラインベンチプレスで準備がきちんとできていて、フォームも正しく行えていると通常のベンチプレスのフォームの修正もできます。
- 肩の動きが意識しやすい
- 肩甲骨が寄せやすい、アーチがうまく作れる
- 下半身を踏ん張るクセがつく
自然に正しいフォームが身につくことで、どのベンチプレスでもきれいなフォームが取れるようになるのです。
そのためとても重要となる準備では初心者は30度から、慣れている人は負荷がかかりすぎない角度から15度までの間で調節してみてください。
グリップの握り方
デクラインベンチプレスのグリップの握り方は2種類あります。
①サムアラウンドグリップ
基本的なグリップの握り方です。
親指が他の4本指とは反対の方向に巻かれる握り方なので、バーベルの落下リスクが軽減できます。
初心者におすすめの握り方なので、慣れるまではサムアラウンドグリップでグリップを握るようにしましょう。
②サムレスグリップ
サムアラウンドグリップの握り方で親指を外してしまうとサムレスグリップです。
肩甲骨が寄せやすくなったり、握力が出やすくなるグリップの握り方ですが、その分消耗も激しいです。
基本的にプルダウンの時に効果的な握り方なので、初心者の人はサムアラウンドグリップがおすすめです。
バーの持ち幅
デクラインベンチプレスでは、バーの持ち幅によって筋肉への刺激をコントロールすることができるようになります。
ワイドグリップ:ベンチプレスの手幅よりも掌1つ分外側を握る
ナローグリップ:ベンチプレスの手幅よりも掌1つ分内側を握る
ワイドグリップで通常のベンチプレスよりも持ち幅を広げることで、大胸筋下部の外側に効かせることができます。
ナローグリップにして手幅を狭めることで、上腕三頭筋に効かせることができるようになります。
鍛えたい筋肉の位置によって持ち幅を変えて行ってください。
一般的にはデクラインベンチプレスでは肩幅よりも広くなる持ち幅で行われることが多くなっています。
どちらの持ち幅で行うとしても、肘が開かないこと・上腕三頭筋を意識することを忘れてはいけません。
デクラインベンチプレスのフォーム
デクラインベンチプレスで最も重要なのは、ケガや故障がなく大胸筋下部・上腕三頭筋に効かせられることです。
効果を引き出すためには正しいフォームを覚えることがポイントになります。
デクラインベンチプレスの正しいフォーム
- ベンチの角度を15~30度で調節する
- 足をかけ体を仰向けに寝かせ胸を張り肩甲骨を寄せアーチを作る
- 握り方や持ち幅を意識してバーベルを握る
- ラックアウトし、そのまま水平に胸の真上まで動かす
- 大胸筋を意識して胸の上(大胸筋下部をめがけて)におろす
- 肩甲骨を寄せた状態のままバーベルをあげる
- 顎を引き大胸筋を収縮させる
バーベルをトップまで持ち上げたら、少しでいいので静止時間を設けると効果的です。
再度下げる時は一気にさげずにゆっくりと行います。あげる時に頭を持ち上げてしまわないことにも注意して動作を行ってください。
正しいフォームのポイント
デクラインベンチプレスの正しいフォームは、ポイントを抑えて覚えておくと分かりやすいです。
- 肘が前後左右に動かないようにする
- 頭をあげてバーベルをあげないようにする
- 床と垂直になるようにバーベルを動かす
- ベンチから腰が浮かないようにする
- 肩甲骨を寄せ、肩が丸くならないようにする
特に頭をあげてしまうとバーベルが不安定になりブレてしまいます。
そうすると加えた力が逃げてしまいフォームがうまくいかないので、頭はベンチにつけ大胸筋の収縮を使ってバーベルをあげることを意識してください。
またバーベルは肘が完全に伸び切ってしまう位置まであげるのではなく、伸び切ってしまわない位置で止めます。
もしまだデクラインベンチプレスには不安があるという人は、ジムに完備されているスミスマシンを使うと効果的です。
一直線にバーベルが動くようになっているので、デクラインベンチプレスのケガのリスクはグッと低くなります。
デクラインベンチプレスの呼吸法
ベンチプレスではどの種類でも同じ呼吸法を使って行っています。
通常のベンチプレス
力を入れる時に吐いて、力を抜く時に吸う
高重量のベンチプレス
大きく吸ってから呼吸を止める
ようするに筋肉の動きに呼吸を合わせていくイメージです。
吐く:コンセントリック(筋収縮)
吸う:エキセントリック(筋伸縮)
止め:アイソメトリック(収縮維持)
インクラインでもデクラインでも基本的にはスタートからの移動・持ち上げの動作で吐いて、戻る時に吸う呼吸法を使います。
呼吸を止めてしまうバルサルバ呼吸は、ほぼ使うことはありません。
パワーリフティングなど競技レベルの高重量を扱う時に使う呼吸法であり、難易度もリスクも高いからです。
参考までにバルサルバ呼吸についても紹介しておきます。
バルサルバ呼吸
・動作を始める直前に大きく息を吸い込み腹圧を上げる
・動作が終了するまでは息を止めたまま腹圧をキープする
・動作間だけ呼吸を行う
腹圧をコントロールして力を発揮させる呼吸法なので、最大限のパワーが出しやすくはなっています。
その分、体への負担も大きく心疾患や血管疾患を抱える人にはおすすめできません。
また、ベンチプレスの初心者の人にもリスクが高すぎます。息苦しさや意識がなくなるなどの心配があるからです。
デクラインベンチプレス初心者
初心者の人はまずは重量に関しては置いておいて、正しいフォームを身につけることから始めてください。
フォームが身についていけば、自然と筋力もあがり高重量をあげられるようになります。
大胸筋下部・上腕三頭筋に効かせるために、初心者が気を付けることは3つです。
①バーベルは一気にあげる
デクラインベンチプレスではバーベルは一気にあげて、ゆっくりおろすのが正しいフォームです。
一気にあげることで刺激を強くすることができます。
ただ、無理な重量に設定していると腰や肘への負担がかなり大きくなってしまうので注意してください。
10回前後あげても無理のない重量がおすすめです。
②チーティングは避ける
初心者は一気にバーベルをあげるために、反動を使ってしまうことがよくあります。
チーティングというのですが大胸筋下部や上腕三頭筋への効果をさげてしまう他にも、ケガや故障のリスクも高めてしまいます。
腰が浮かないように意識するとチーティングの予防になります。
チーティングを使うのはスタッキングポイント(限界点)を突破する時と覚えておいてください。
③肩甲骨を意識する
デクラインベンチプレスは「寄せた肩甲骨2点+お尻の3ポイント」で上半身を支えて行います。
途中で寄せた肩甲骨が開放されアーチが崩れてしまうのは初心者に多いミスです。
動作中は肩甲骨が寄せられているかをしっかり意識して、筋肉への刺激が逃げないように注意してください。
正しいフォームのポイントが抑えられていれば、効率よくデクラインベンチプレスに慣れていくことができます。
注意点(ウォーミングアップやケガの防止について)
デクラインベンチプレスでケガを防止するためには、ウォーミングアップが欠かせません。
大胸筋下部や上腕三頭筋など刺激を与える部分のウォーミングアップも大切ですが、回旋腱筋板も一緒に慣らしておいてください。
デクラインベンチプレス前のウォーミングアップ
①体を温め酵素を発生させATP作成や筋収縮を促進する
②神経を活性化させて筋トレの効果を出やすくする
おすすめなのは段階的なウォーミングアップです。
・シャフトのみで軽くウォーミングアップ
・少しずつ重量をあげて4~6セット行う
1セット目:10~15回程度
2セット目:8~10回程度
3セット目:5~8回程度
4セット目:3~5回程度
5セット目:2~3回程度
ウォーミングアップで5セット以上をするのは100kg以上をあげる上級者です。
初心者でも慣れた人でもウォーミングアップは休憩を挟まずに行うと体が温まり、デクラインベンチプレスの効果を出しやすくなります。
胸に効いていない時の見直しポイント
大胸筋下部や上腕三頭筋に効いていないと感じた時は、もう一度デクラインベンチプレスが正しく行われているか見直しポイントをチェックしてみてください。
バーベルをあげる位置
せっかく角度をつけてベンチプレスを行っているのに、体に対し垂直にバーベルを上げてしまうとうまく筋肉に効かせることができません。
バーベルが床と垂直にあがっているかどうかをもう一度見直してみてください。
肩甲骨と腰
しつこいですが肩甲骨の寄せがゆるんでしまったり、腰がベンチから浮いてしまっていると筋肉への刺激が逃げてしまい別の部分へ効いてしまうことになります。
しっかりと肩甲骨を寄せたままアーチを作り動作を行うことで、大胸筋下部へダイレクトに刺激を与えることが可能です。
肘の位置
デクラインベンチプレスの動作の途中で肘が前後左右へ動いてしまい、不安定になっている場合でも胸に効かなくなります。
どうしても肘が安定しない人はまずはデクラインダンベルベンチプレスで安定性を追求するのもひとつの方法です。
フォームは正しい人の場合
デクラインベンチプレスのフォーム自体は正しくできているのに、大胸筋下部に効かない場合はもともと大胸筋が発達しにくい体質の場合があります。
実はそんな人は肩の筋肉が発達しやすい人が多いのが特徴です。
それでも厚い胸板に憧れるという時は、補助として以下の筋トレを行うのがおすすめされています。
- ダンベルベンチプレス
- ダンベルフライ
- インクラインベンチプレス
大胸筋を鍛えることができる筋トレをデクラインベンチプレスだけではなく、複数行うことで効果アップを目指してみてください。
デクラインベンチプレス筋肥大・筋力アップ目的
デクラインベンチプレスで筋肥大・筋力アップを目指す場合におすすめの負荷や回数がこちらです。
目的 | 負荷 | 特徴 |
筋力アップ | 最大筋力のうちの80% | 短いインターバルを挟み筋肉を追い込む |
筋肥大+筋力アップ | 90%~100% | 高負荷による瞬時のパワー発揮で筋肥大・筋力アップ |
競技レベルの筋肥大・筋力アップよりも、一般的な筋力アップの目安がほとんどの人にあてはまるはずです。
筋肥大+筋力アップを目指す場合でも、いきなり90~100%の負荷に挑戦するのではなく段階的に重量をあげていくことをおすすめします。
トレーニングスケジュール
筋肥大や筋力アップを目的としてデクラインベンチプレスをする時は、大きな負荷がかかっていることが多いです。
そのため筋肉の超回復時間を考えると週に2~3回行うのが推奨されています。
- 大胸筋:48時間
- 上腕三頭筋:48時間
どちらも48時間はかかるので、月・木・日など2日おきにデクラインベンチプレスをするのが理想です。
ただ、筋トレをしない期間が2日もあくのは嫌だという人もいるはずです。
そんな時は三角筋や前腕筋など別の部位の筋肉を鍛えておけば、全身の筋肉の強化にもなります。
女性の場合は男性よりも筋肉の回復に時間がかかるので、週に1~2回の筋トレでも問題ありません。
また年齢が高くなればなるほど、20~30代男性の目安以上の時間が必要になり最大で2倍の時間がかかるようになっています。
基本的には週に2~3回なので、あとは性別や年齢から考えてスケジュールを管理してみてください。
セット数と重量の目安
筋肥大・筋力アップが目的のデクラインベンチプレスのセット数と重量の目安です。
目的 | セット数 | 回数 |
筋力アップ | 3~6セット | 8~12回 |
筋肥大+筋力アップ | 2~6セット | 1~5回 |
筋力アップの場合は8回~12回で限界に達する負荷をかけて追い込みます。
30秒~1分程度の短いインターバルを挟み動作を行うことで、筋肉を追い込み効かせていくことが可能です。
筋肥大+筋力アップの場合は1~5回で限界に達する負荷をかけて、じわじわというよりも瞬時に追い込みをかけます。
負荷が大きいということはその分回復時間も必要なので、インターバルは最低でも3分はとってください。
効果を高めるポイント
デクラインベンチプレスの効果を高めるポイントはディップスです。
ディップスはベンチプレスの強化が可能で、高重量をあげたい人にかなりおすすめできる補助種目となっています。
- 起動や可動域が重なる部分がたくさんある
- 大きな負荷がかかるところが同じでパワーアップが可能
- 主動筋や補助筋が同じ
- 肩や肩甲骨を動かす練習にもなる
動作中のバランスをとる力や地力強化も可能なので、補助種目として効果を高めるためにぜひ取り入れてみてください。
ディップスに関する詳細は以下の記事を参考にしてください。
ボディメイク・ダイエット目的でのデクラインベンチプレス
デクラインベンチプレスは筋肥大や筋力アップの他にも、負荷をコントロールすることでボディメイクやダイエット効果をだすことができます。
- 体幹を鍛える
- 代謝アップ
- 二の腕のシェイプアップ
- バストアップ
太めの体型やボディラインを整えたい男女からも人気が高いのがデクラインベンチプレスです。
ボディメイクやダイエット効果を追求するデクラインベンチプレスでは、筋肉の持久力のアップも同時に行うことができます。
トレーニングスケジュール
高重量で最大限まで負荷をかける訳ではないので、毎日行っても問題ありません。
基本的にはデクラインベンチプレスを使うのは週に3回程度が多いようですが、休む日には別の筋トレを行っている人がほとんどです。
筋トレで刺激を与えるそれぞれの筋肉の回復時間をしっかりと取ることを考慮して、1週間のトレーニングスケジュールを決めてみてください。
女性の場合はボディメイクやダイエット効果を求める場合は、間にヨガなどを入れて一旦リラックスするのもひとつの方法です。
男性の場合でも補助種目などを取り入れローテーションで全身のボディメイクやダイエットを狙います。
余裕があれば栄養バランスを考えた食事のスケジュールも組んでみると効果的です。
セット数や重量の目安
セット数の目安は通常のベンチプレスやインクラインベンチプレスで行う時と同じです。
- 初心者:3~4セット
- 中級者:4~5セット
- 上級者:6~7セット
反対に重量の目安はボディメイク目的なのか、ダイエット目的なのかでちがいます。
ボディメイク:15回で限界がくる重量
ダイエット:20回で限界がくる重量
ただ筋肥大を目的としている訳ではないので、無理に高重量を扱おうとしなくても大丈夫です。
基本的に男性でも女性でも中級者レベルまでのセット数・重量で行うと覚えておいてください。
高重量ではないのでインターバルも30秒~1分と短めで取ります。
併用できる筋トレ
デクラインベンチプレスでボディメイクやダイエットをする時に併用するのにおすすめの筋トレがいくつかあります。
①自重トレーニング
器具を使わずに自分の体重を負荷に使って行う筋トレです。誰でも手軽にコストをかけずに始めることができます。
②チューブトレーニング
自重トレーニングからさらに追い込みたい時や、仕上げをしたい時にトレーニングチューブを使った筋トレが活用できます。
とても単関節種目が多いのでピンポイントで筋肉に効かせることが可能です。
③バランスボール
今では持っている人も多いバランスボールがあれば、ストレッチをしながら体幹トレーニングをすることができます。
インナーマッスルを鍛えることはボディメイクやダイエットには効果的です。
④ダンベル
ダンベルを使った筋トレもおすすめです。ボディメイクやダイエットのためならそこまで重たいダンベルを用意する必要もありません。
TVを見ながら筋トレをすることもできるので取り組みやすいはずです。
もしジムに通っているなら、マシンを使った筋トレを併用すれば負荷が高い筋トレをすることもできます。
ただ、ボディメイクやダイエットにはインナーマッスルを鍛えた方が効果があるので、マシンで軌道を支えるのはあまりおすすめできません。
効果を高めるポイント
ボディメイクやダイエットの効果を高めるには「全身をローテーションして鍛える」のがおすすめです。
代謝が高い状態がキープできていれば効率がよくなります。
例えば…
月曜日:大胸筋
火曜日:有酸素運動
水曜日:下半身全体
木曜日:ウエストライン
金曜日:背中
土曜日:有酸素運動
日曜日:ヒップライン
このように全身をループして毎日常に代謝が高い状態を作りつつ、その日に使った筋肉をしっかりと休めることが効果を高めるポイントです。
運動が苦手だけどボディメイクやダイエットに挑戦したいという場合は、いきなりデクラインベンチプレスから入らず体幹トレーニングから始めてみてください。
体幹が鍛えられていた方がその他の筋トレもデクラインベンチプレスも効率よく行えるようになります。
デクラインベンチプレスに必要な道具
デクラインベンチプレスでは以下の道具が必要となります。
- トレーニングベンチ
- バーベル
- プレート
角度をつけるためには可動式のベンチが必要ですが、本格的に筋トレをするのではなくボディメイクやダイエット目的でコストをかけたくないという人もいるはずです。
そんな人は必要な道具がそろっていなくてもデクラインベンチプレスをすることはできるので安心してください。
代用することも可能
フラットベンチプレスを持っているなら使うことができます。
・ベンチに両足をのせる
・ブリッジをするように角度をつける
フラットベンチもない時はヒップリフトを使います。
・ヒップリフトの体勢をとる
・ダンベルプレスを行う
さすがにヒップリフトの状態でバーベルを使うことはできませんが、ダンベルプレスなら可能です。
肘が床につくので可動域は狭いですが、大胸筋に効かせることができる代用のデクラインベンチプレスです。
ただやっぱり効率がいいのは可動式のベンチなので、お金をかけたくない人でもコストがかからない最低限の物を選ぶことをおすすめします。