日々形を変える月の動きは、女性の体と関係の深い天体と言われていて、女性の月経の周期と月の満ち欠けの周期は約28日間と、不思議なことにほぼ一致しています。
多忙な日々の中で、私たちは自然のリズムをつい見落としがちです。その中でも特に日々変化する自分の体に目を向ける必要があります。
今回はそんな神秘的な月に関連するヨガポーズ、「三日月のポーズ」についてご紹介します。
正しいやり方やより効果を得るためのコツ、様々なバリエーションまで、徹底解説していきます。
目次
三日月のポーズとは?
三日月のポーズは、サンスクリット語で「アンジャネーヤ・アーサナ」と呼ばれています。
アンジャネーヤとは、インド神話「ラーマーヤナ」に登場する孫悟空のモデルとなったと言われる猿神、ハマヌーンの別名です。
足を前後に開いて両手を天に向かって伸ばすシルエットが、三日月のように見えることから、日本語と英語で「三日月のポーズ(Crescent Moon Pose)」と呼ばれています
またこのポーズは、「前後開脚のポーズ(ハヌマーン・アーサナ)」を簡単にしたバリエーションの1つとも言われています。
三日月のポーズで得られる効果やメリット
三日月のポーズは、全身を大きく使ってバランスをとるため、股関節をはじめとする多くの筋肉の可動域を広げ、筋力を向上してくれます。
そのほかにも、三日月のポーズには次のような効果やメリットがあります。
骨盤のゆがみを改善
女性は男性に比べて筋肉量が少ないため、どうしても骨盤を支える力が弱くなり、骨盤が歪みやすいと言われています。
特に出産後の女性は骨盤が緩んだ状態なので、そのまま放っておくと歪みやズレが生じて姿勢が悪くなり、腰痛や体型が崩れる原因となってしまいます。
三日月のポーズでは、骨盤周りの筋力をほぐしながら鍛えることができるため、骨盤の歪みを改善するのに非常に効果的です。
生理痛や便秘の改善
生理痛や便秘等のトラブルは、身体の冷えと血行不良が主な原因と考えられます。
この三日月のポーズは、鼠蹊部が刺激され、腰やお腹周りの血行をよくしてくれる効果があります。
鼠蹊部には多くのリンパが集まっているため、デトックスや便秘の改善にも効果的。
また深い呼吸を心がけることで自律神経が整い、リラックス効果も期待できるのです。。
体全体の引き締め効果
全身のバランス感覚が求められる三日月のポーズをマスターすることで、体幹が鍛えられ、様々な箇所の引き締め効果が期待できます。
とくに太ももや腹筋などのシェイプアップに効果的で、美しいボディラインを手に入れたい方にオススメのポーズです。
肩こり改善や疲労回復
三日月のポーズでは、腕を上に大きく伸ばし上体を反らすため、首や肩などのストレッチ効果が高いです。
また同時に肩や首の可動域を広げて筋力を鍛えられるため、肩こりの改善や疲労回復効果が期待できます。
三日月のポーズのやり方やコツ、意識したいポイント
股関節を前後に開き、上半身を天へと大きく伸ばす「三日月のポーズ」。
三日月のポーズの効果を最大限に得るために、正しいやり方やコツ、注意点を解説していきます。
やり方
- 両手を肩幅程度の広さで床につき、四つん這いの状態になる
- 両膝はこぶし1つ分くらいの間隔を開ける
- 右足を前に踏み出し、左足のひざを床につけ、両手は右足に置く
- ゆっくり息を吸いながら、状態を垂直に引き上げ、両手を真上に伸ばす
ポイントやコツ
- 身体で三日月のようにしなやかな形を描くイメージで
- しっかりと骨盤を正面に向かせ水平に保つこと
- ポーズをキープ中、肩甲骨を少し下げるように意識すると安定しやすい
- 初心者の人は手を使わず、上体を真上に伸ばすだけでもOK
- 尾骨を床に引き下げるように膝をついて、下半身を安定させる
- 恥骨はオヘソの方へ引き上げるように意識する
- 目線は伸ばした両手の親指におくこと
注意点
体の前面を伸ばすイメージで行いますが、腰の反らし過ぎは腰を痛める原因になるので要注意。
また、両手を上げるとき、肩周りに力が入ってしまうと逆に肩こりの原因となってしまうので、うまくできない人は耳から肩を離すイメージで肩周りをリラックスさせましょう。
三日月のポーズで膝が痛い人の対処法
三日月のポーズのように膝をつくポーズは、体重のかけ方や使用しているマットなどの影響で膝の痛みを感じる場合があります。
癒しのヨガ中に痛みに耐えながらポーズを行っていては、集中できずに非常にもったいないため、すぐに対処しましょう。
すぐに実践できる、簡単な対処方法をご紹介します。
膝に負荷をかけすぎない
三日月のポーズをする際、バランスをとるために膝に体重をかけすぎてしまうと負荷がかかってしまい膝を痛める原因になります。
前足と後ろ足をしっかり使って、バランスをとることを意識してみてください。
厚みのあるヨガマットにする
ヨガマットが薄いと、直接膝に床の硬さが響きます。
長年使っている人は弾力性が落ちてしまっているかもしれません。
6mm前後の厚みがあるヨガマットに買い替えるのも1つの手です。
膝下にブランケットやマットなどを敷く
折りたたんだブランケットやマット、タオルなどをひざ下に敷いてみましょう。
少し痛みが和らぐかもしれません。
使い古したヨガマットを膝パッド用に切って使うのもいいですね。
立位の三日月のポーズ(月のポーズ)はフローヨガに取り入れても〇
フローヨガとは、次々と流れるように複数のヨガポーズをとっていくものです。
しっかり動きをとめて行う一般的なヨガよりも体をよく動かすため、脂肪燃焼効果が高いと言われています。
フローヨガは、いつものヨガよりもう少し体を積極的に動かしたい人や好みの音楽に合わせて気持ち良く汗を流したい人などにオススメです。
ここでよく用いられるのは立位での三日月のポーズと言われる「月のポーズ」です。
前項までに紹介した膝をつく「三日月のポーズ」は、動きながらのフローヨガで取り入れると反動でケガをしてしまう可能性があるため、立位でできる月のポーズをオススメします。
「三日月のポーズ」と間違いやすいよく似たヨガポーズ
ヨガはポーズの種類がとても多く、別名で呼ぶ方も多いため、「どれが正解なのかわからない」と混乱してしまう人がいるかもしれません。
そんな方に向けて、三日月のポーズと間違われやすいポーズをいくつか紹介していきます。
ハイランジ(ウッティタ・アシュワ・サンチャラナーサナ)
ハイランジはヨガの基本ポーズで、足を前後に大きく開き、後ろ足のかかとをあげた上体で両手を天井方向にあげるポーズです。
三日月のポーズと違い、膝でバランスがとれない分、体幹やバランス感覚が鍛えられます。
お尻からふくらはぎにかけての下半身のシェイプアップに効果的です。
戦士のポーズ1(ヴィラバドラーサナ1)
「戦士のポーズ1」は、別名「英雄のポーズ1(ウォーリア1)」とも言われています。
ハイランジとよく似ていますが、ハイランジと違い後ろ足のかかとを浮かさず、両足でしっかりと地面を踏みしめ、両手を上げるポーズです。
股関節の柔軟性と下半身の強化が期待できます。
月のポーズ(チャンドラーサナ)
立位の三日月のポーズと呼ばれていて、シンプルで簡単なのに全身を気持ちよくほぐしてリフレッシュさせてくれるポーズです。
月のポーズには、背骨をしなやかにして、姿勢を正し、腰痛や肩こりの改善などの効果があります。
まとめ
三日月のポーズはヨガ初心者の人にもオススメのポーズです。
冒頭で説明した月と人の繋がりから、「ムーンデー」と呼ばれる満月にあたる日は、ヨガをしないという人もいます。
自然のリズムを感じながらヨガをするのも、ヨガを心から楽しむ1つの方法かもしれません。
ぜひ、神秘的な月の力を感じながら「三日月のポーズ」を実践してみてください。