カラダの柔軟性をはかるストレッチとして運動前や体育の授業で誰しも一度は経験したことのある「前屈のポーズ。」
実はヨガにも前屈のポーズがあることをご存知でしょうか?
ヨガの前屈のポーズは座っておこなうポーズと立っておこなうポーズがあり、両方とも太もも裏やふくらはぎの筋肉を刺激し血流が促進されます。
カラダのこりをほぐすだけでなく、精神的に起こる意外な効果は実はあまり知られていません。
今回は、体だけでなく心から健康になれる「前屈のポーズ」の知られざる秘密に迫ります。
目次
前屈のポーズとは?
体が硬い人が最も苦手とするのが前屈のポーズ。
準備運動として、立った状態で前屈をした時、手が床につかず体の硬さを自覚している人も多いポーズです。
ストレッチのイメージが強い「前屈のポーズ」ですが、ヨガで言う「前屈のポーズ」について詳しく説明したいと思います。
前屈のポーズの名前の由来
前屈のポーズには座っておこなう座位のポーズを、立っておこなう立位のポーズがあります。
座位でおこなう前屈のポーズはサンスクリット語で「パスチモッターナーサナ」と呼ばれています。
パスチマは「西」、ウッターナは「強く伸ばす」という意味で、頭の先からかかとまでの体の後ろ面を強く伸ばすポーズを指します。
ヨガの代表的なポーズの流れである「太陽礼拝」は基本的に東を向いて始めるので、西側=背中側を強く伸ばすポーズです。
一方、立位でおこなう前屈のポーズはサンスクリット語で「ウッタナーサナ」と呼ばれます。
太陽礼拝をおこなう時の一連の動きの中にふくまれるポーズです。
前屈のポーズで刺激されるカラダの部位
前屈のポーズで刺激されるカラダの部位についてご説明いたします。
実際にポーズをとる際、刺激される部位を意識しながら姿勢を保つようにすると、自分の体の部位で不調な箇所を見つけられる事ができるのでおすすめです。
- 太もも裏
- お尻まわり
- 背中
前屈のポーズで得られる意外な効果4つ
前屈のポーズをおこなう事により得られる効果やメリットについて具体的にご紹介いたします。
体に起こる変化だけでなく、精神的なメリットも得られる事ができます。
①足の疲れやむくみに効く
腰を支点とし、足をまっすぐ伸ばした状態で上半身をまっすぐ倒す事により、太ももやひざ裏の筋肉が伸ばされて血行が促進されます。
夜になると足がむくんだり、足の疲れを感じる方はお風呂上がりの体が温まった時に前屈のポーズをお試しください。
翌朝には疲れが軽減されて足がすっきりすることを感じられます。
②背中のこりをほぐす
前屈のポーズは足のストレッチのポーズを思われがちですが、実は体の背面もストレッチされています。
背筋をまっすぐ伸ばした状態で上半身を倒すと背中から腰にかけて心地よく筋肉が伸びていることを感じられます。
凝り固まった筋肉をほぐす効果があるため背中のこりに効果的なポーズです。
③腹部、骨盤周辺を刺激し月経痛の緩和
前屈のポーズは足や背面への刺激のみならず、腹部や骨盤も刺激します。
背筋をまっすぐ伸ばしながら上半身を前に倒すには体幹を意識する必要があります。
また、前屈した際にお尻が床から浮かないようにするため坐骨(お尻の骨)を床に押し付けるため、実は骨盤周辺を刺激しているのです。
腹部や骨盤周りの血流が促進されると毎月つらい月経痛が軽くなったという事例もあるのでお試しください。
④最大の効果は精神の安定を得ること
前屈のポーズの精神的なメリットとして、精神の安定を得ることができます。
理由として、上半身を足に向かってまっすぐ折りたたむことにより視界が遮られ余計な情報が入らなくなることによりヨガのポーズに集中できます。
視界が遮られる事により、他の感覚が研ぎ澄まされ精神的にとても安定するため非常にリラックス効果の高いポーズと言えます。
前屈のポーズをおこなう手順
側屈のポーズをおこなう手順を具体的に解説いたします。
立位の前屈のポーズと座位の前屈のポーズの両方の手順をご紹介いたします。
座位前屈のポーズをおこなう手順
- 床(ヨガマット)の上に座り、両足をまっすぐ前にそろえて伸ばします。
- 息を吐きながら股関節から体を前に倒しましょう。両手がつま先に届かない場合はかかとやスネの横に置くようにします。
- もし余裕があれば足裏をつかみ、おでこをスネに近づけます。
立位前屈のポーズをおこなう手順
- 両足をくっつけた状態で背筋をしっかり伸ばしまっすぐ立ちます。
両手は腰にあてましょう。 - 息を吐きながら背筋をまっすぐキープし上半身を倒します。いきおいで体を倒すのではなく、股関節から上半身を折りたたむイメージで呼吸を止めずにゆっくりおこないましょう。
- 息を吐きながら、さらに上半身を曲げていきます。手を足の外側において床につけます。
- 元の位置に戻すときも呼吸を止めずに背筋をまっすぐ伸ばしたまま、ゆっくりと上体を起こします。
前屈のポーズのポイント
前屈のポーズをおこなうポイントや気を付ける点をまとめました。
詳しく見ていきましょう。
ポーズのポイント
立位前屈のポイントは背筋をまっすぐ伸ばして上半身をゆっくり倒すことです。
床に手をつけたいがために、いきおいをつけて背中が丸まった状態でカラダを倒すと、背中への刺激が半減されます。
股関節の可動域も広がらず立位前屈のメリットを得られにくいので、背筋をしっかり伸ばすことを意識するのがポイントです。
気をつけるポイント
勢いをつけて体を前に倒すとハムストリングを痛める原因につながります。
ハムストリングは肉離れしやすい筋肉で、一度痛めてしまうと回復に時間がかかります。
前屈のポーズで太もも裏が痛い時の対処法は?
前屈のポーズを気持ちよくおこなうために、太もも裏の痛みを軽減する方法をご紹介いたします。
座位前屈:伸ばした両足の親指に手が届かない
足の後ろ側の筋肉(ハムストリング)が硬い人は、伸ばした両足の親指を手でつかむことがとても難しいです。
痛みを我慢し体を前に倒すと筋肉を痛める原因になるため、対処法としては2つあります。
伸ばした両足のひざを少し曲げる
1つは、伸ばした両足のひざを少し曲げてみましょう。
ひざを曲げて股関節から上体を倒してお腹を太ももに近づけていき、こり固まったお尻や太もも裏の筋肉を伸ばしていきましょう。
タオルやベルトをつま先にかけて上半身を倒すサポートする
2つは、両足はまっすぐ伸ばしたまま、タオルやベルトをつま先にかけて上半身を倒すサポートすること。
ベルトの両端をしっかりと握って、ひじを伸ばして足の付け根から肩まで一直線になるイメージで背骨をまっすぐ伸ばします。
息を吐きながらゆっくりとひじを曲げて上半身を倒すとハムストリングの痛みを減らすことができます。
両方のやり方をためして、無理をせずに時間をかけて体の柔軟性を高めていきましょう。
座位前屈:背中が丸まってしまう場合の対処法
ハムストリング(太もも裏)と大臀筋(お尻の筋肉)が硬いと股関節を屈曲することが困難なため、お腹を丸めて腰を後ろにひいてしまいます。
対処法としては、丸めたタオルやブロックをお尻の下に敷いて座面を高くしてみましょう。
高さが生まれることで重力の作用で上半身を前に倒しやすくなります。
立位前屈:手が床につかない場合の対処法
立った状態での前屈ポーズで床に手がつかない人は無理をせずひざを曲げましょう。
いきおいで無理に体を前に倒そうとすると太もも裏の筋肉を痛めてしまします。
ひざを曲げても問題ありませんので、股関節から上半身を折り曲げるイメージはそのままでゆっくり体を倒しましょう。
まとめ
立っておこなう「立位前屈」と座っておこなう「座位前屈」の知られざる効果についてご紹介いたしました。
前屈のポーズは足のむくみや月経痛の緩和だけでなく、顔を床面に近づける事により視界が遮られて集中力が増して精神的な安定が得られるという意外なメリットがあります。
疲れやストレスがたまった時に、前屈のポーズで心も体もリラックスしてみましょう。